癌代替療法 ゲルソン療法について
1. ゲルソン療法とは
ゲルソン療法はアメリカ在住のドイツ医学博士マックス・ゲルソンが1930年代に提唱した、ガンを主体とした病気全般への効果を謳った食事療法です。日本ではまだあまり知られていませんが、欧米ではよく知られた療法です。
ゲルソン療法では、ガンの原因となる食塩、動物性脂肪を徹底的に排除し、活性酸素による細胞損傷を防ぐファイトケミカルを豊富に含んだ有機栽培野菜や果物、その他抗がん性の高い食物をバランスよく摂取することによって免疫力を高め、ガンを兵糧攻めにして、リンパ球による駆除を促進したりアポトーシスに追い込んだりする事により、快癒を図るという、シンプルかつ理にかなった療法です。
当時、塩や動物性脂肪の過剰摂取による発ガン性、活性酸素による細胞損傷、ファイトケミカルによるリンパ球活性化、抗ガン性食物、等が科学的に検証されていなかった時代に、現代人の食生活に警鐘を鳴らすようなこのような画期的な食事療法を提唱した博士は『医学史上稀有の天才』とも呼ばれています。
ゲルソン療法は、ガンのほか高血圧、肝炎、血栓症、腎臓病、痛風などの病気において、 効果を発揮した実例があり、薬を使用しない治療法として大変注目されています。
2. ゲルソン療法5箇条
ゲルソン療法はの基本は下記5箇条になります。
2-1. 完全無塩食
体内のNa/Kバランスを正常化させるため、食塩(NaCl)の摂取を省く。ガン細胞は一般的に細胞内Na比率が高くNaの多量摂取はガン細胞の助長につながります。そのため、食塩の不摂取を徹底し、ガン細胞の増殖を防ぎます。またNaの排出を促すためK優位の食物を多くとります。(体内に余分なKを排出する際にNaも同量排出するという腎臓の機構を活用します)
この手法は塩分の多い食事をしている日本人に胃ガンが多い事とも合致し、また中央アフリカにおいて欧米文明の流入とともに大量の塩分が食事に使われるようになってから癌が増加した、等数多くの実例が観測されています。
2-2. 動物性脂肪、動物性たんぱく質の制限
<動物性脂肪> 善玉コレステロールの原料となる、オメガ3系列の多価不飽和脂肪酸を生で摂る以外は禁止されます。ゲルソン原法では亜麻仁油大さじ1杯が基本となっています。
<動物性たんぱく質> ゲルソン療法を実施してから6週間以降は無脂肪ヨーグルトを時折食べてもよい以外は禁止されます。
これも欧米型食生活に移行してから大腸がん発症者がうなぎのぼりである現状からも明らかです。
2-3. 一日2〜3リットル以上の野菜ジュース
有機栽培されている人参、レモン、りんご、季節の青菜などの野菜ジュースを1回200〜300g、1日13回飲む。
有機栽培野菜・果実に多量に含まれているファイトケミカル(ビタミン、カロチン、リコピン等)は、体内で発生し発ガンを促す活性酸素の働きを中和し、またリンパ球にてがん細胞への攻撃を担うNK細胞等を活性化させます。ゲルソン原法では有機栽培以外は栄養価が低下しているため禁止されています。
2-4. アルコール・カフェイン等刺激物の禁止
ガン患者の生活実態、治癒した人が禁止していた行動等の綿密な調査から、アルコール、カフェイン、タバコ、精製された砂糖、着色料・保存料等の人口食品添加物の摂取が禁止されています。
2-5. コーヒー浣腸
定期的なコーヒー浣腸により、腸内の老廃物を除去、肝機能の回復を図ります。
3. 野菜ジュース
ゲルソン療法の要となる野菜ジュースですが、一般家庭向けジューサーでは一日2〜3リットル絞るためにはほぼ一日中、野菜を洗い、無農薬野菜が手に入らない場合は皮をむいたり、ジューサーにかけたりする必要があり実現は難しいです。
そこで下記のような専用ジューサーが用意されています。
ゲルソン療法原法では推奨されるジューサーのタイプが次のように定義されていますが、上記ジューサーはゲルソン療法の推奨する6. 粉砕・圧搾組み合わせ型にあたり、他のタイプに比べ必要栄養素を多く (ゲルソン療法原本<ガン食事療法全書> によれば50倍も)体内に取り入れることができます。
1 | 圧搾型 |
2 | 遠心分離型 |
3 | 麦の葉専用ジューサー(日本で該当するといえば茶葉専用でしょうか?) |
4 | 柑橘衣類ジューサー |
5 | ミキサー |
6 | 粉砕/圧搾組み合わせ型 |
4. アレンジされたゲルソン療法
世界各地で、土地風土に合った食事療法がアレンジされており、原法を押し広めるハワード・ストラウス氏(創始者マックス・ゲルソンの孫)も、ゲルソン療法適用による結果が最重要であり、風土によってどうしても収穫できない穀物の種類等の微妙な差には極端に固執することはないと言われています。「ガンが食事で治る」という事実―済陽式ガンの食事療法vs星野式ゲルソン療法 (ビタミン文庫)
例えば欧米主体に広まったゲルソン療法ではオートミール、ライ麦パン、全粒粉シリアルなどが多用されますが、日本ではどうしても玄米や豆腐となります。
日本におけるゲルソン療法としては、星野式ゲルソン療法が有名です。星野氏(現福島学院大学福祉学部長)はステージVb大腸がんと転移肺がん(発症当時1990年の5年生存率 0%)から、日本式にアレンジした星野式ゲルソン療法を開発実践することにより生還したことで話題となった方です。現在でもゲルソン療法についての啓蒙活動に活躍されています。次にゲルソン原法と星野式ゲルソン療法の違いを示します。
比較内容 | ゲルソン療法原法 | 星野式ゲルソン療法 |
野菜ジュース | 200ml〜300mlを1日13回 | 500ml(朝・夕方・晩)を1日3回 |
野菜・果物 | 4kg〜6kgの野菜・果物を取る | 取りきれず足りない分はサプリメントで補う |
その他代替療法 | なし | 尿療法、ビタミンB17(アミグダリン) |
大豆食品 | 高タンパク質、また他ミネラルの栄養吸収を阻害すると考え除外 | 古来より抗がん作用があることは自明なため採用 |
くるみ、ナッツ等種子類 | 酵素の働きを阻害する物質が含まれているため除外 | 縄文時代からの保存食で実績もあるため採用 |
5. ゲルソン療法関連書籍
ゲルソン療法への理解を深めるための解説書、日本において敷衍された療法についての実録、対談書等を下記に示します。
5-1. ガン食事療法全書
マックス・ゲルソン博士本人の著作によるゲルソン療法の解説書です。当世一流の医学、栄養学への理解により綿密なセオリー解説と治療方法説明がなされています。理論派におすすめです。
5-2. 決定版 ゲルソンがん食事療法
ゲルソン療法を継承し、普及活動を行っているシャルロッテ・ゲルソンさん(ゲルソン博士の娘さん)による、ゲルソン療法施療の実例に基づいた解説書です。様々な末期ガンからどのような方法を用いて快癒に向かったが詳しく書かれています。またゲルソン療法のレシピや、補助療法としてのビタミン、ミネラル等の摂取方法について詳しく述べられています。
5-3. ガンと闘う医師のゲルソン療法―自らのガンを克服した精神科医が選んだ究極の栄養療法 (ビタミン文庫)
自身ゲルソン療法により5年生存率0%の転移ガンを克服した星野医師による、ゲルソン療法の実践書です。ゲルソン療法原法を日本の風土に合った、また働きながらでも実施できる現実的なものに改良した星野式ゲルソン療法を提唱されています。療法についての実例が多く、まずはこれがあればゲルソン療法については実施できると思います。
5-4. 「ガンが食事で治る」という事実―済陽式ガンの食事療法vs星野式ゲルソン療法 (ビタミン文庫)
同じく星野医師と、食事療法を取り入れてガンの診療にあたっている済陽医師との対話集です。ゲルソン原法に対しての両者のスタンスや治療方針が克明に描かれています。具体的な食事療法方針についても盛りだくさんのため、実際の治療に役立ちます。